赤字会社は売却できるのか?

目次

「赤字だから売れない」「債務超過はM&Aの対象外」と考える経営者は少なくありません。実際には、赤字や債務超過であっても会社売却(M&A)が成立するケースは存在し、とくに建設業では許認可・人材・地場ネットワークといった実務資産が評価されやすい傾向があります。本ページでは、赤字企業売却の判断軸、買い手が見るポイント、成功に向けた準備と注意点を建設業の現場感で整理します。

赤字・債務超過でも会社は売れるのか?

売却できるケースとできないケースの違い

可否を分けるのは直近の損益ではなく、将来キャッシュフローを生む根拠が示せるかです。

売却できるケース

  • 受注の再現性があり、現場管理や積算などの体制が維持されている
  • 建設業許可・専任技術者が在籍し、更新見込みがある
  • 地場の元請・協力会社ネットワークが残っている

売却が難しいケース

  • 主要人材が離職し、許可や現場運営の体制が崩れている
  • 許可更新が困難、重大なコンプライアンスリスクが顕在
  • 顧客が単一案件・特定人物に過度依存している

見られるポイントは「将来性」「ノウハウ」「資産」「許認可」

買い手は、受注の再現性・人材の熟練度・機材やヤード等の活用度・許認可の維持可能性を総合評価します。

建設業における赤字企業の価値:建設業許可・技術者・地場ネットワーク

建設業では、許可・資格・経審実績・地域の取引関係が入札や指名継続に直結するため、赤字でも評価され得ます。

買い手が「赤字企業」を買う理由とは?

人材や設備を低コストで獲得できる

採用難の中で、現場を動かせるチームを一括確保できる即効性が大きな動機になります。

エリア・顧客基盤の拡大目的

地場色の強い業界特性上、地域ネットワークを伴う参入近道としてM&Aを選ぶ企業が増えています。

元請け登録や公共工事実績の継承

自力で積み上げると時間がかかるため、経審点数や過去実績の継承による参入加速を狙います。

売却を成功させるために必要な準備

財務の整理と可視化(帳簿・資産・負債)

粉飾のない実態把握を示し、重機・車両・ヤード・リース・担保の一覧化で交渉をスムーズにします。

許可や実績の整理とアピール資料作成

許可区分・更新時期・専任技術者、経審、主要工種の実績を一枚で俯瞰できる資料にし、現場標準や安全品質の運用も提示します。

専門家との早期連携(M&Aアドバイザー・弁護士・税理士)

スキーム選択と債権者調整が肝となるため、初期段階からの専門家チーム編成が成功確率を高めます。

赤字企業売却時の注意点

負債の引き継ぎ範囲(契約内容に依存)

株式譲渡なら包括承継、事業譲渡なら選別承継となるため、未成工事支出金や偶発債務の扱いに注意が必要です。

債権者・金融機関との調整

借入継続条件や保証解除の可否、リスケ・借換方針を早期に協議し、主要債権者の同意形成を図ります。

従業員・取引先への丁寧な説明と対応

価値の源泉は人と関係性にあるため、雇用維持方針・現場運営・契約手続きを分かりやすく伝えます。

建設業M&Aで赤字企業が売れた事例

地方で公共工事を主力としていた中小建設会社が資金繰り悪化に直面したものの、地場ネットワークと監督人材の厚みを評価され、近隣の同業グループへ譲渡された例があります。

譲受側は不足していた現場管理体制と許可要件を補完でき、売却側は債務整理と雇用維持を同時に達成。結果として、地域案件の継続と品質の維持が実現しました。

債務超過のままM&Aを成立させるには?

多くのケースで、債務整理とM&Aを並走させる再生スキームが採られます。金融機関との条件変更や一部債権放棄で実質的な財務改善を行い、譲渡を成立させます。

また、事業譲渡により必要資産・人材のみを移す方法も有効で、許可・資格・現場体制の継続性を確保できれば成立可能性は高まります。

再生型M&Aと通常M&Aの違いとは?

再生型M&Aとは、経営難企業を引き継ぎ再建を目指す手法で、債権者調整や体質改善を伴う点が特徴です。黒字企業の拡大を目的とする通常M&Aとは目的や進め方が異なります。

再生型M&A

  • 目的:経営再建・雇用維持
  • 対象企業:赤字・債務超過企業
  • プロセス:債権者協議や再生計画を伴う
  • 成果の焦点:継続性と再建の実行力

通常M&A

  • 目的:事業拡大・シナジー創出
  • 対象企業:安定成長・黒字企業
  • プロセス:企業価値評価と条件交渉が中心
  • 成果の焦点:成長性とシナジー効果

まとめ

赤字や債務超過でも、会社売却の可能性は十分にあります。とくに建設業では、許可・人材・地場ネットワークが実態価値として評価され、買い手が見つかる例は少なくありません。重要なのは、企業価値を正確に伝えることと、専門家の支援を早期に受けることです。準備と説明責任を尽くし、関係者の信頼を確保しながら進めましょう。

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※1参照元:M&Aフォース(https://www.ma-force.co.jp/consultant/
※2参照元:Career Ladder(https://careerladder.jp/blog/ranking/
※3参照元:日本M&Aセンター(https://recruit.nihon-ma.co.jp/about-us/data-overview/
※4参照元:日本M&Aセンター(https://www.nihon-ma.co.jp/groups/message.html
※日本M&Aセンター費用の参照元https://www.nihon-ma.co.jp/service/fee/convey.html
※5参照元:トランビ(https://www.tranbi.com/