建設業M&Aにおける自社の価値とは

目次

建設業のM&Aを検討する際、多くの経営者が気になるのが自社の価値です。売却価格は決算書の数字だけで決まるものではなく、技術者、許認可、受注基盤、将来の収益力などを総合的に見て判断されます。

建設業M&Aにおける企業価値(売却価格)の考え方

建設業M&Aにおける企業価値とは、買い手がその会社を引き継ぐことで得られる経済的な価値を金額で表したものです。一般的には、会社が保有する資産や負債、過去の利益、将来の収益見込み、事業上の強みなどをもとに算定されます。

企業価値評価(バリュエーション)の重要性

企業価値評価は、M&Aの交渉における出発点です。売り手が自社の価値を把握していないまま交渉を始めると、相場より低い条件で譲渡してしまったり、反対に現実的ではない希望額を設定して買い手が見つかりにくくなったりする可能性があります。

特に建設業では、完成工事高営業利益だけでは会社の実力を判断しきれません。受注残、元請け比率、協力会社との関係、技術者の在籍状況、建設業許可の内容など、将来の事業継続に関わる要素も評価に影響します。

純資産だけでなく「のれん代(営業権)」も考慮される

会社の価値は、貸借対照表上の純資産だけで決まるわけではありません。長年の施工実績、地域での取引関係、安定した受注基盤、従業員の技術力など、帳簿に直接表れにくい価値もあります。

こうした無形の価値は、M&Aではのれん代営業権として評価されることがあります。例えば、同じ純資産額の会社でも、継続的に利益を出せる会社や、買い手の事業拡大に役立つ会社であれば、より高く評価される可能性があります。

建設業M&Aで自社の価値を算出する3つのアプローチ

企業価値を算出する方法はひとつではありません。M&Aの実務では、会社の状況や目的に応じて複数の評価方法を組み合わせ、価格の妥当性を検討します。代表的な考え方として、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチがあります。

コストアプローチ(時価純資産法など)

コストアプローチは、会社が保有する資産と負債に着目して価値を算定する方法です。代表的なものに、時価純資産法や修正簿価純資産法があります。

建設業では、不動産、重機、車両、資材、未成工事支出金、借入金などが評価対象になります。帳簿上の金額をそのまま使うのではなく、必要に応じて時価や実態に近い金額へ修正することがあります。

この方法は、会社の資産内容を把握しやすい点が特徴です。一方で、将来の利益や技術者の価値、取引先との関係などは反映しきれない場合があります。そのため、建設業M&Aでは他の評価方法と併せて確認することが一般的です。

インカムアプローチ(DCF法など)

インカムアプローチは、将来どれだけ利益やキャッシュフローを生み出せるかに着目する方法です。代表的な手法としてDCF法があります。

建設業の場合、今後の受注見込み、既存顧客との継続取引、公共工事の入札状況、技術者体制、原価管理の精度などが将来収益に影響します。過去の業績が安定していても、主要取引先への依存度が高い場合や、経営者個人に営業力が集中している場合は、将来の不確実性が評価に反映されることがあります。

一方で、複数の取引先から安定的に受注しており、現場管理体制が整っている会社は、将来収益の見通しを説明しやすくなります。

マーケットアプローチ(類似会社比較法など)

マーケットアプローチは、類似する会社や過去のM&A事例を参考にして価値を算定する方法です。類似会社比較法や類似取引比較法などが該当します。

建設業では、同じ業種であっても、土木、建築、設備、内装、解体など事業内容が異なります。また、元請け比率、営業エリア、公共工事と民間工事の割合、利益率によっても評価は変わります。

そのため、単純に同業他社の売却事例を参考にするだけでは十分ではありません。自社と近い規模や事業内容の事例をもとに、個別事情を調整して判断する必要があります。

建設業において自社の価値を高く評価してもらうためのポイント

建設業M&Aでは、財務内容だけでなく、譲渡後も事業を継続できる体制があるかどうかが重視されます。買い手は、会社を引き継いだ後に売上や利益を維持できるか、現場を滞りなく運営できるかを確認します。

施工管理技士などの有資格者や若手・熟練技術者の確保

建設業では、人材が会社の価値に直結します。施工管理技士、建築士、技能士などの有資格者が在籍している会社は、受注や現場管理を継続しやすいため、買い手にとって魅力があります。

また、熟練技術者だけでなく、若手人材が育っているかも重要です。高齢の職人に依存している場合、譲渡後の人材流出や技術継承がリスクとして見られることがあります。評価を高めるには、資格保有者の一覧年齢構成担当現場教育体制を整理しておくとよいでしょう。

安定した受注基盤(元請け比率の高さや優良顧客との取引)

安定した受注基盤も、自社の価値を判断する大きな要素です。元請け案件が多い会社や、継続取引のある顧客を持つ会社は、将来の売上見通しを説明しやすくなります。

ただし、特定の取引先に売上が集中している場合は、買い手からリスクとして見られることがあります。主要顧客ごとの売上割合、契約期間、受注経路、継続見込みを整理しておくことで、買い手に対して事業の安定性を伝えやすくなります。

また、協力会社との関係も評価対象です。施工体制を支える協力会社が安定している場合、譲渡後の現場運営を引き継ぎやすくなります。

建設業許可などの許認可とコンプライアンスの遵守

建設業M&Aでは、建設業許可の内容や要件の充足状況も重要です。国土交通省は、建設業許可を受けるための要件として、経営業務の管理責任者等の設置などを示しています。

許可業種、許可区分、営業所の体制、専任技術者の配置、社会保険加入状況などに不備があると、譲渡後の事業継続に影響する可能性があります。買い手は、これらの要件が維持できるかを慎重に確認します。

また、未払い残業代、下請代金の支払い、労務管理、安全衛生管理などのコンプライアンス面も見られます。事前に問題点を把握し、改善できるものは対応しておくことで、買い手の不安を抑えやすくなります。

正確な自社の価値を知るなら専門家への相談が必須

自社の価値は、決算書の数字だけを見ても正確には判断できません。建設業特有の許認可、人材、受注基盤、工事原価、将来の収益見込みまで踏まえて、客観的に算定する必要があります。

自己判断は危険?専門家による客観的な算定が必要な理由

経営者が自社の価値を考えるとき、過去の投資額や思い入れを基準にしてしまうことがあります。しかしM&Aでは、買い手が引き継いだ後にどれだけ収益を生み出せるか、どのようなリスクがあるかも重視されます。

そのため、自己判断だけで希望価格を決めると、交渉が進みにくくなる場合があります。専門家に相談すれば、財務内容事業の強み建設業特有のリスクを整理したうえで、現実的な価格帯を把握しやすくなります。

M&Aフォースなら無料で企業価値診断が可能

M&Aフォースは、公式サイトで財務・ビジネス分析や株価・企業価値算定、事業承継診断に対応していることを示しています。自社の価値を把握したい建設業の経営者にとって、専門家へ早い段階で相談することは、譲渡の可能性や今後の選択肢を知るきっかけになります。

まだ売却を決めていない段階でも、自社の価値を知ることで、承継時期や準備すべき課題を整理しやすくなります。

まとめ

建設業M&Aにおける自社の価値は、純資産や利益だけでなく、技術者、許認可、受注基盤、協力会社との関係、将来の収益力などを総合して判断されます。評価方法には、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチがあり、会社の状況に応じて使い分けます。

適正な価値を把握するには、自己判断ではなく専門家による客観的な算定が重要です。M&Aフォースのように企業価値算定に対応する専門家へ相談すれば、自社の売却価格の目安や、評価を高めるための準備を具体的に確認しやすくなります。

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※1参照元:M&Aフォース(https://www.ma-force.co.jp/consultant/
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※日本M&Aセンター費用の参照元https://www.nihon-ma.co.jp/service/fee/convey.html
※5参照元:トランビ(https://www.tranbi.com/